代表プロフィール
一人ひとりがもつ、
命の輝きを最大限に発揮してほしい
~働き方の応援から、人間育成の場づくりへ~
スリーデイズ代表 伊藤理恵
起業やキャリア支援
その“一歩手前”をサポートしたい
「2017年に『スリーデイズ』を立ち上げた当初は、講師業がメインでした。それがひと段落して、コミュニティスペース『サンブリュー』を2019年3月にオープン。軌道に乗ってきたなと思ったら、2020年からコロナ。そこから事業の流れが変わりました。
コロナによって増えた依頼もありますが、一方で、私自身にはこれまでやってきたことが色褪せて見えてきた。
じゃあ、次の時代に求められるものはなんだろうってずっと考えていて。起業支援とかキャリア支援のもっと手前に『人間育成』だと気づいたんです。
起業支援やキャリア支援の依頼って、みなさんかなり悩んだ後に来る。起業支援の場合、下手したら起業の一歩手前くらいで来る人たちが多くて。もっと前に出会っていたら、違う歩み方があっただろうなって人が結構いるんです。
だから、一番リーチしたい人は誰なのかと考えると、起業直前の人よりは『人生なんか違うな』って思い始めたくらいの人に会いたいと思ったんです。」
人間育成の場
フォルケホイスコーレとの出会い
「それじゃあ『人間育成』のために何をしていくか。フォルケホイスコーレじゃないか?って。
当時、私の周りにデンマークに視察に行ってきたとか、フォルケホイスコーレに行って帰ってきたとか、そういう人たちが増えてきていて、なんだろうそれは?って思ってデンマークに調査へ行ったんです。
フォルケホイスコーレって地域に根ざしてある学校なんです。自然に恵まれた環境のなかで4〜6ヶ月間、共同生活しながらやりたいことを見つけたり、スキルアップしていく。
よく教育業界で行われているリーダーシップ開発とか自己変革って痛みを伴うんですよ、必ず。自分を見つめるし、自分の弱いところを受け入れなきゃいけない。半ば強引に変えさせていくようなプログラムもあったり。私そういうのは好きじゃない。
でもフォルケは本当にナチュラルに変わっていく。すごくナチュラルに自分のペースで変わっていける場所。これってすごいなって。」
場を立ち上げ
社会のしくみをつくる
「そうやって自分が整えば、人間っていかようにも動いていくんです。あとはハウツー。ハウツーを提供する人はいくらでもいる。
20代後半とか30代のころは自分が教えたいと思っていたけれど、いまはそれが私じゃなくてもいいと思っているんです。フォルケホイスコーレのような『場』を立ち上げればいい。社会のしくみを作ることにいま興味があります。
結局、キャリア支援も起業支援も、支援の方法は一緒。中学、高校、大学、社会人・・・扱う対象が違って、それぞれに求められるコンテンツを作るんだけれど、どこ行っても私、同じことを言っている。そもそも伝えたいことはひとつ。命の輝きを最大限に発揮していく、それに尽きるんです。
結果、起業でもいいし、転職でもいいし、もう一回その会社で頑張るでもいい。私、本当にどっちでもいいの。その人がその人らしくいられれば。
いまはお客さまからの要望は分野、対象別の講座が多いけれど、もっと根っこの部分をやりたい。そして見つけたのが『人間育成』。自分のやりたい原点に近づいたって感じかな。」
狭い世界のなかで
息苦しさを感じながら働く日本人
「デンマークから帰ってきて思ったんだけど、日本はまだ多様な世界が実現していませんよね。私自身にもあるんだけど『お母さんだからこうしなきゃいけない』とか。自分で自分を息苦しくしている社会だなって。人がつくった妄想を信じ込んで、自分を苦しくしている人がたくさんいる。
だからいろんな会社の研修に行って『この会社で働けて幸せ』っていう人に出会ったことがない。狭い世界のなかで疲れ果てて、本来もっている自分の美しい部分を出しきれてない人ばっかりだなって。これでは日本は世界に負けるよな、って感じます。力を出しきれていないどころか、どんどん摩耗している。それでは世界に勝てないと思う。」
まずは大人が変わることで
子どもたちにも幸せに
「働いている人が幸せを感じられないのは、依然として古いマネジメントだったり、トップダウンの枠組みの中で仕事が行われているから。人が変わってきているのに、古い世界に押し込めようとするからしんどいんです。だから会社が変わらなくちゃいけない。会社を動かす一人一人の人間が変わっていかないと。
その起点は親にあると思う。まずは大人が変わること。我慢しながらずっと働いている親の元に生まれたお子さんは、きっと同じような道を歩んでいく。広い世界を見ずに。大人が幸せにならなかったら、子どもも幸せにならない。
なので、まずは変わりたいって思っている大人から変えていくこと。面白く、楽しく、広い外の世界に一緒に行こうぜってみなさんを巻き込んでいくのが私の役目かな。」
自分の生き方は自分で決める
多様な価値観が当たり前の社会がすぐそこに
「私はフォルケホイスコーレだけあればいいと思っているわけではないんです。オルタナティブ教育って言われるような、選べる環境になっていくのがベストだなって。
本当に精神的な豊かさを求める時代に入ってきたと思います。でも精神的な豊かさを求めて自分が成長して行った先に、ちゃんと生活も成り立っていくことが実現してほしい。個々の価値基準で物を選んで、判断して、自分の在り方も、自分の生き方も自分で決める。それが当たり前の世界が、もう目の前にきていると感じています。
不思議なことに、デンマークから戻ってきたら私への講演依頼のテーマがちょっとずつ変わってきて。『ダイバーシティ』とか『多様な社会を実現するにはどうしたらいいか』という内容が増えてきました。
経営者がいままでファッショナブルにダイバーシティを語っていたのが、本気でどうにかしなくちゃいけないと思い始めている。いい傾向だなって感じています。」
◇こちらの記事の内容は、2024年4月24日に牧佳さんにインタビューいただきました。